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閑話休題(飲酒の代謝への影響)

  • 盛岡減量研究所
  • 2015年6月5日
  • 読了時間: 3分

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飲酒はエネルギー代謝を悪化させることがある。連日、長時間に渡り飲酒し続けた場合、低血糖モードに曝される時間が長くなるため甲状腺ホルモン分泌が減少する。結果としてエネルギー代謝は沈滞する。

この現象は過度の長期に渡る糖質制限でも(おそらく長期に渡るSGLT2阻害剤の使用でも)生じ得る。動物のエネルギー代謝とは糖質代謝であると考えると合理的である。

長時間の飲酒では糖新生は抑制されアルコール→アセトアルデヒドがケト源物質としてエネルギー源として利用される。長期の厳しい糖質制限では糖新生により得られたブドウ糖と遊離脂肪酸→ケトン体がエネルギー源として利用される。

いずれにしろブドウ糖が不足してもアルコールやケトン体が生体のエネルギー源になるので生命活動には問題がない。ただし両者とも長時間ブドウ糖が不足するためエネルギー代謝は抑制方向に向かう。

ある40歳代の男性がいた。何十年にもわたって毎晩ビール2本を飲用していたのだが、3年ほど前に禁酒した。以来、徐々に体重が減少し十数キロ体重が減少した。

これはビール2本分のアルコールのエネルギーが失われたためだけでは生じない。禁酒によってエネルギー代謝が改善したのだ。すなわち通常のエネルギー代謝に戻ったと理解すべきであろう。この男性、体重変化から、さらに痩せ遺伝子の持ち主とみた。

またもう一人の50歳代の男性はアルコール性肝硬変を有する大量飲酒家で、食事もあまり摂らず朝から酒を飲むタイプであった。肝機能が著しく悪化したため禁酒を指導した。彼は禁酒を守った結果、1か月で10kgの体重増加を認めた。

最初、肝硬変による腹水貯留を考えたが、腹水もなく肝機能が改善しており純粋の肥満と考えた。すなわち禁酒したからといって、すぐに甲状腺機能が回復する訳ではなく、エネルギー代謝は沈滞したままで3食、しっかり摂ったために体脂肪蓄積に傾いたと考えた。

一般的に甲状腺ホルモンは安定しており短時間での変動は少ないホルモンである。日内変動も少なく、その値は食事や運動の影響を受けにくい。採血を、どの時間におこなっても値の変動は極めて少ないホルモンである。

40歳代男性のケースでは徐々に甲状腺ホルモン分泌が改善し、代謝が上昇したため時間をかけて体脂肪が過大に減少した。

一方、50歳代男性のケースでは禁酒直後の甲状腺ホルモン分泌が不十分な状態で、つまり低代謝の段階で大量摂食した結果、急激に体脂肪が増加したと考えられた。

アルコールは血中のブドウ糖が少ない状態ではエネルギー源になるが、ブドウ糖が多い状態では中性脂肪に置き換わるとされている。ブドウ糖が多い状態では中性脂肪はインスリンの作用で白色脂肪細胞に運ばれ蓄積される。

いずれにしろ長期に渡る糖質制限食や毎日の飲酒習慣は甲状腺ホルモン分泌を抑制しエネルギー代謝を悪化させる可能性がある。もし糖質制限をしながら毎日飲酒している方がいるならエネルギー代謝が悪化して減量耐性を容易に生じる可能性がある。

この際、蛋白質や脂質を多く摂取しても代謝は改善しない。エネルギー代謝とは甲状腺ホルモンが統括し副腎髄質が担当するが、最終的にはインスリンやグルカゴンによる糖質代謝なのであると考える。

追記:

当地域はワカメや昆布の産地であり、ヨード摂取量が過多だと思われるので甲状腺ホルモン分泌の撹乱因子になり得るとも考える。

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