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要点

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肥満における減量治療おいて開始数ヶ月で減量耐性ができ、体重が減りにくくなる。特に糖質制限食で減量治療を行なった場合に減量耐性は顕著である。減量耐性の原因は生体も持つダイナミックなエネルギー代謝によるものであり、甲状腺ホルモンから副腎髄質ホルモン系が重要な鍵を握る。

 

糖質制限食の問題点は主として夜間睡眠時低血糖が原因と考えられる骨髄への悪影響である。それはリンパ球減少症さらには低γグロブリン血症さらに低IgG血症を生じることである。これら低γグロブリン血症の症例ではリンパ球表面マーカーCD10が減少しており骨髄でのBリンパ球系の芽球が障害されると推察する。

 

特にアルコール大量飲酒家や糖尿病治療薬を用いている糖尿病患者に糖質制限を課した場合に骨髄への悪影響が見られる。またステロイド糖尿病の患者に糖質制限を課した場合や糖尿病治療薬を投与した場合にも同様な所見が得られる例が存在する。

 

アルコールはケト原性物質であり1gあたり7㎉の熱量を要するが、血液中のアルコール濃度が上昇するとグルカゴン分泌を抑制するため血糖値が低下する。過度の糖質制限でグリコーゲン蓄積が不足する場合、夜間睡眠時に低血糖状態に陥る。

 

糖新生は血中ブドウ糖維持のためにグリコーゲンが枯渇した際に主役になるシステムだが、特に糖新生を抑制するメトホルビンはアルコールと同様に夜間睡眠時の血糖低下を招きやすい。SU剤やインスリン製剤でも夜間睡眠時の低血糖を招く可能性がある。

 

夜間睡眠時には意識がないに等しいので空腹感などの低血糖症状が乏しい。ただ完璧な糖質制限を行なってもHbA1cは4%以下にならないので血糖値はなんとか維持されていると想像する。基本的にケトン体はエネルギー源にはなるがブドウ糖ではない。

 

糖質制限を賛美するにはダイナミックなエネルギー代謝を停滞させ減量耐性を安易に生じ得ると問題と、一部の糖尿病患者の骨髄抑制によるリンパ球減少から低γグロブリン血症を生じ得る問題から、必ずしも推奨はできかねる。

 

カロリー制限派は糖質制限食を指導した経験もないのに頭ごなしに糖質制限を否定する。逆に糖質制限派は自派を賛美するあまり体重とHbA1cしか見ていない。個人的には、両者とも多くの症例を集め、かつ減量と糖尿病治療を区別して本当のエビデンスを確立することではないかと考える。

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