SGLT2阻害剤の使い方(裏ワザ編)
- 盛岡減量研究所
- 2015年6月20日
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米国では女性用バイアグラということで抗真菌剤であるジフルカンが販売されている。膣カンジダを抑制することにより膣内分泌が清浄となり、粘膜の炎症を改善せしめ、臭いや悪露を改善し、正常な潤いに戻すというような効果があるとされている。少なくとも催淫剤のたぐいではない。
SGLT-2阻害剤を用いた場合、数%にカンジダ症が出現するとされているし、当クリニックでも2名ほど投与中止になった。また高齢女性では尿沈渣で慢性尿路感染症を示す例が存在する。後者であれば無症状のことが多いし顕性化した時点で抗生物質を投与すれば良い。
もしカンジダ症が出現した場合、SGLT-2阻害剤を一時中止しジフルカンを投与しカンジダを積極的に抑制し、SGLT-2阻害剤を再投与すれば良いかと考える。またジフルカンとSGLT-2阻害剤の併用も可能と考える。
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HbA1cが6%台の比較的コントロール良好の糖尿病患者の中にも食後に300mg/dl以上の高血糖を示す患者がいる。このような例では食後、過大にSGLT-2阻害剤がヒットする可能性が高い。つまり循環血漿が体外に移動し急性脱水を招く可能性がある。
それを予防するには即効型インスリン分泌促進薬であるナテグリニド(スターシス)やミチグリニド(グルファスト)あるいはαグルコシダーゼ阻害薬を併用し食後の異常高血糖を抑制しつつSGLT-2阻害剤を使用する方法がある。
肥満を有する初期Ⅱ型糖尿病患者ではインスリン抵抗性が存在するため過大にインスリンが分泌されるので膵外分泌を減らすためSGLT-2阻害剤単独使用でも構わない。
しかし罹患歴の長いⅡ型糖尿病患者ではインスリン分泌が減少している可能性もあるのでナテグリニドやミチグリニドの食前投与でSGLT-2阻害剤治療をアシストした方が良い場合もあると考える。
SGLT-2阻害剤は血糖値に依存した利尿剤である。食後の異常高血糖にSGLT-2阻害剤がヒットし急激かつ過大な利尿を生じた場合、体液バランスが急激に変化する可能性がある。それは一過性の起立性低血圧や末梢循環不全を生じ得るのである。