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体組成計の臨床への応用(アルコール関係)

  • 盛岡減量研究所
  • 2017年7月27日
  • 読了時間: 3分

大酒家には赤血球容積MCVが増大するケースがある。必ずしも赤血球減少症いわゆる貧血を伴っていないので、私はビタミンB12や葉酸の利用障害や骨髄赤芽球系の抑制ではなく赤血球の膨化と説明してきた。つまり細胞内浮腫の現れと理解している。なぜならアルコール飲料は低浸透圧で、それを大量に摂取したさい循環血漿の浸透圧も希釈性に薄まり低調になるためECFからICFに水が移動することによってICF浮腫を来すという理屈だ。

私も一時期MCVが108まで増大したことがあったが、現在99まで改善した。方法は簡単で飲んだ後に浸透圧成分を負荷することだ。メニレットゼリーを用いるより生理的浸透圧物質すなわち塩と糖を寝る前に負荷することだ。何グラムの塩と何グラムの糖が必要なのかは決定できないが、理論的に飲酒時もしくは飲酒後に塩と糖を摂取することはICF浮腫の予防になる。

過日、FreeStyleリブレを用いた24時間血糖測定時、飲酒による飲酒による低血糖モードの発生を報告したが、そういう意味でも飲酒後に塩を含んだ糖質を摂取した方が良さそうだ。塩分は浸透圧を提供し細胞内浮腫の予防、糖質は低血糖モードの予防と浸透圧の提供だ。例えばカップラーメンミニやベビースターラーメンあたりで良いかもしれない。ただ酔った状態でクールに食品を選べるかは不明だが。

ところで私は寝る前の飲食や、起床時のメニレットゼリーの服用でMCVを正常化させたが体重増加とγGTの上昇を招いてしまった。簡単にいうと寝る前に食べ過ぎたのだ。体重増加の中には体脂肪の増加だけではなくECF水分の増加すなわち浮腫も含まれるが、その原因としてはアルコール性肝障害が原因となった続発性アルドステロン症によるものかと推測する。

一方NAFLDの患者の中にはAST、ALT、γGT正常でRBCのみ低下している者もいる。これらの多くはMCV正常であり、アルブミン値やコリンエステラーゼ値も正常範囲であることがある。ただRBCが低下しているということはECFが増大していることの証でありアルブミン値は正常低値を示す場合が多い。肝炎としての活動性は低いものの、密かに肝臓の線維化が進んでいる状態である。

このような場合、ヒアルロン酸値が潜在する肝臓の線維化の判定に有用である。つまり肝炎のマーカーが正常範囲であっても潜在する肝臓の線維化を推定できる。ただ高齢者では膝関節由来のヒアルロン酸も測定値に含まれるので4型コラーゲン7Sやアンモニアも測定する必要があろう。正球性正色素性貧血に低アルブミン、低コリンエステラーゼ、ヒアルロン酸高値を認めた場合NAFLDが進んだ状態だと判断する。個人的には、さらにアンモニア高値を示した場合、臨床的にNASHと考える。

愛飲家と呼ばれる大量飲酒者にはMCV増大を認める症例が存在するが、必ずしも貧血を伴っているケースだけではない。もし貧血を伴っている症例はアルコール性肝障害(ALD)もしくは脂肪肝(NAFLD)に伴う続発性アルドステロン症と考えなければならない。MCV増大は細胞内浮腫を、貧血は細胞外浮腫(循環血漿量増大)と理解できよう。両方同時に存在する場合もある。それらを判別するために体組成計が必要だと考える。

 
 
 

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