HbA1c 6.0%の患者の秘密(FreeStyle リブレProにより)
- 盛岡減量研究所
- 2017年4月7日
- 読了時間: 2分
先日、この頃血圧が高いという患者が来院した。酒好きで脂肪肝もあるが糖尿病は大丈夫と語っていた。そこで通常の肝機能検査にヒアルロン酸の項目を追加した。確かにAST、ALT、γGTは軽度異常値を示していたが、なんとヒアルロン酸値が140ng/mlと肝硬変レベルに達していた。
この方のHbA1cは6.0%であったが脂肪肝の原因には高インスリン血症が関与するので75gOGTTを、FreeStyleリブレProを用い、起床後の空腹時にトレーランGを飲用してもらい75gOGTTに代えた。ついでに1週間の血糖値変動をみた。
FreeStyleリブレProを装着した翌朝、空腹時血糖値は99mg/dlだったがトレーランG飲用90分後の血糖値は271mg/dlを記録した。その後、一週間、血糖変動をみたが毎食後血糖値は、ほぼ250mg/dlに達していた。ただ驚いたのは夜間~未明の低血糖だ。これはグラフを添付するが少なくとも3日間の低血糖割合は30%弱を示した。
この方のHbA1c6.0%は夜間の低血糖モードが存在するために正常値を示していたに過ぎなかったことが解った。朝の低血糖モードは飲酒による糖新生の抑制であろう。また食事前にも低血糖気味なのは食後の過大な血糖上昇に対してインスリンが過大に分泌されたからだと推測する。

今回のケースでは炭水化物を控え、かつ炭水化物を摂取する前に繊維質、タンパク質、脂質をゆっくり咀嚼して摂取し最後に米やパンをいただく。また出来れば飲酒は中止した方が良さそうだ。本来、夜間の低血糖にはグリコーゲンが対応するはずだが、グリコーゲンだけでは対応できてない。もし飲酒を続けるならば眠前に蜂蜜湯やリンゴなどフルクトースを含んだ食品の摂取が望まれる。
24時間血糖測定は糖尿病の診断や食事指導、さらには治療をする上で今後、必須なものになる。ただこの検査を医療保険の適応にすると、社会保障費は一気に上昇するであろう。基本的には自由診療で行われる検査だと思う。
最後に愛飲家の糖尿病患者や耐糖能障害を有する方々は是非一度この24時間血糖測定を行うべきであろう。あなたのHbA1cはアルコールによって見かけ上、低く出ている可能性がある。特に、今回の例で夜間~未明の低血糖モードはアルコールによる糖新生の抑制だけでなく肝硬変によるグリコーゲンの蓄積不足が原因ではないかと考える。