体組成計のNAFLD治療への応用
- 盛岡減量研究所
- 2017年3月27日
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血液透析患者のドライウエイト決定に体組成計InBodyが利用されている。これは体液過剰を数値化し全身の浮腫を検出する方法だ。ECW(細胞外液量)/TBW(総体重量)は常にほぼ一定であり、その標準範囲は0.36~0.39と決まっているかららしい。すなわち透析直後に体組成を測定し0.39以上ならドライウエイトに達していないと判断するようだ。さらに過剰の水分量に合致する体重をさらに引き下げ適切なドライウエイトを再設定するのだ。
ところでタニタの体組成計付き体重計があるが、こちらには内臓脂肪レベルが表示される。ところが、この内臓脂肪レベルと肝機能は必ずしもパラレルではない。NASHでも内臓脂肪レベルは正常範囲のことがある。むろん内臓脂肪レベルが過剰でも肝機能正常のこともある。すなわち内臓脂肪と肝機能は別のものと考えた方が良さそうだ。
では体組成計はNASHやNAFLDの診断に応用できないかと、利用は可能である。それはNASHならびNAFLDに続発する、いわゆる続発性アルドステロン症だ。アルドステロン症とは高血圧、浮腫、低カリウム血症、筋けいれんなどを呈する病態だ。アルドステロンの検査は安静仰臥位での採血検査なので外来では難しい。という理由でInBodyを用いて隠れ浮腫を検出するのだ。
NASHや重症NAFLDでは健診で用いられるAST ALT γGTでは見落とされる可能性がある。そこで肝線維化であるヒアルロン酸を追加し異常値を示す場合には体組成計での体液過剰の有無を調べる。体液過剰が検出された場合には75gOGTTを行いDM、DM型、IGTがあれば、その治療にSGLT-2阻害剤を用いることが可能だ。
SGLT-2阻害剤で体重減少だけでなく細胞外液減少(RBC上昇でも良いが)が進むようならビオグリタゾンの併用や、ビオグリタゾンへの変更も可能だ。ただ現時点ではSGLT-2阻害剤やビオグリタゾンのNASHやNAFLDへの適応はないがDMもしくはDM型なら使用は可能だ。
検診ではBSが外れてHba1cを用いるようになったがHba1c正常の患者のなかにはOGTT陽性の者が少なくない。だから早期に隠れNASHや隠れNAFLDを発見して治療を開始すればNASHによる肝性昏睡や肝臓癌を予防できる。場合によっては胆管癌や膵臓癌の発症も抑制できる可能性がある。今の検診では年に何回おこなっても必ず見落としが出てくる。
もう少し深く丁寧に検査をするべきではないのかと考える。