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糖尿病の勉強会で

  • 盛岡減量研究所
  • 2016年10月6日
  • 読了時間: 2分

先日、東北糖尿病連携セミナーなる講演会に参加した。今、どのような栄養指導がなされ、どのような治療が行われているのか興味があったからだ。とりあえず驚いたのは持続グルコースモニタ(CGM)が外来で実際に使用されているとのことだ。

これは画期的である。5分間隔で皮下に刺入した針により細胞外液中の血糖値を測定する大きさ3cmほど、厚みは1cm弱、重さ5.7gのiPro2という機械に驚いた。夜間の血糖値、特に低血糖の検出に極めて有用であろう。

ところでDPP4阻害剤について東北医科薬科大学の赤井教授が興味深い話をされていた。DPP4阻害剤は「血糖依存性のインスリン分泌促進」を謳っているが、どこのメーカーの資料を取り寄せても優位にインスリン分泌が亢進したデータはなかったと言っておられた。

その代わりグルカゴン分泌抑制に関しては明らかであり、結果としてインスリン分泌促進ではなく持続的にグルカゴンを抑制することで血糖値を下げているとの話であった。

高血糖に対してはインスリンが、低血糖に対してはグルカゴンが作用している。すなわちグルカゴンは低血糖の際に糖新生を行い、血糖値を維持する働きをするホルモンだと説明がつく。ということはアルコール、すなわちDPP4阻害剤は飲酒と相性が悪い可能性がある。

アルコールもグルカゴン分泌を妨げ、糖新生を抑制する。すなわち愛飲家へのDPP4阻害剤は夜間の低血糖モードを惹起する可能性がある。もちろん極端な糖質制限をしていなければ蓄積グリコーゲンからのブドウ糖により低血糖を回避できると思うが。

ところで、もしCGMが容易かつ簡単にできるようになれば、これまで検出が困難だった自宅で飲酒時の、夜間の血糖変動が明らかになる。また食品別の血糖変動も判るようになる。インスリンの基礎分泌量の差によって食後血糖値が異なると推定されるので、患者各人にあったオーダーメードの食事指導ができる可能性がある。

もしDPP4阻害剤やアルコールによる夜間低血糖モードが出現した場合、フルクトースが有効なのか、また夕食時の脂質摂取による低血糖モード回避の可否などCGMにより明らかになるはずである。今のところ保険請求でこの検査を行うのは難しいようであるが、糖尿病治療においてCGMの利用は必須になる日が必ず到来すると考える。

 
 
 

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