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続発性アルドステロン症とNASH

  • 盛岡減量研究所
  • 2016年8月18日
  • 読了時間: 3分

非アルコール性肝硬変症(NASH)は高齢肥満女性に相当数存在する。これらのケースではいわゆるトランスアミナーゼや4型コラーゲン7Sも正常範囲内のことが多くデータ上、その判断が難しい。肝炎としての活動性は低いが低アルブミン血症と高アンモニア血症で発見される場合がほとんどだ。血小板数も正常か正常低値、コリンエステラーゼも正常か正常低値のことがある。

NASHは、いわゆる住民健診や人間ドックレベルの肝機能検査では見落とされる可能性が高い。ただNASHでは続発性アルドステロン症を合併している場合もある。浮腫、低カリウム血症、筋けいれんなどの症状が、それだ。アルドステロン症はECFが増加するので正球性正色素性貧血を呈する。ALD(アルコール性肝疾患)ではMCVの増大を認める場合もある。

高齢者の貧血には続発性アルドステロン症による希釈性の正球性正色素性貧血もあり得る。こむら返りを頻繁に訴え、低カリウムや浮腫が存在し、かつ正球性正色素性貧血が存在する場合NASHを考慮しなければならない。ただASTやALTなどトランスアミナーゼは基準値内にあり肝炎としての活動性は低い。腹部超音波検査でも粗い画像にはなりくく、脾腫も明らかではない。いわゆる「枯れNASH」と言うべき状態だ。

高アンモニア血症が存在しても初期には無症状で通院している。ただし何らかの理由で通院困難が現れ在宅医療に移行してしばらくすると、昼寝時間が長くなる。そして、さらに進行すると、やたら眠ってばかりいるとか、食事中でも眠ってしまう状態に陥る。簡単にいうと長い年月をかけて肝臓の線維化が進み肝性昏睡を呈している状態だ。こうなってしまうと治療は無理だ。アミノレバンを投与したところで治療は不可能だ。

そこでNAFLDの段階での栄養性脂肪肝を発見し、早期に栄養指導(単純糖質食の制限と高動物性タンパク食)を行い、また75gOGTTを行いIGTレベルの耐糖能障害であってもSGLT-2阻害剤やビオグリタゾンなどの抗DM薬や、さらにリーバクトなどのアミノ酸製剤を用いて治療すべきであろうと考える。ただ続発性アルドステロン症が潜在する場合、ビオグリタゾンの使用は体液過剰により浮腫や肺水腫をまねくことがあるので慎重に使用すべきである。

ご老人は歯が悪いとか嫌いという理由で肉を食さない。動物性タンパク質が圧倒的に不足する。肝細胞のダメージを修復する材料は動物性タンパク質に他ならない。またやたら単純糖質の多く含む食品、たとえば白飯や麺類、餅や饅頭、その他の雑菓子などを良く好んで食べる。単純糖質食品は高インスリン血症を容易に呈する結果、内臓脂肪を増加させる。もちろん運動不足によるエネルギー消費も減少するのでNAFLDからNASHに移行する。そうならないように治療するのがNAFLDの治療でありNASHの予防になると考える。

 
 
 

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