ICF浮腫(脳浮腫)に対する治療一考
- 盛岡減量研究所
- 2016年8月18日
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アルコールの連日大量摂取は脳浮腫などの細胞内浮腫の原因になる。細胞内浮腫は診断が難しいが、私見では赤血球容積MCVの増大が相関すると考える。以下、私自身が行ったメニレットゼリー60g/日とグリチロン6T/日の併用で得られた結果である。なお私は糖尿病型を示すIGTである。
7月14日(木) RBC 436 MCV 106 Alb 4,6 治療前値
7月23日(火) RBC 427 MCV 104
7月29日(金) RBC 419 MCV 102 Alb 4.5
8月01日(月) RBC 418 MCV 104
8月02日(火) RBC 410 MCV 106
8月08日(月) RBC 389 MCV 106 Alb 4.0 治療中
土曜日は定期飲み会でアルコール量はボトル半分(エタノール換算140g)以上を摂取する。それ以外は、ほぼボトル半分である。ここで面白いことはRBCが徐々に減少している。すなわちECFが増加して希釈されているためRBCが希釈性貧血という形になっている。
それを裏付けるのはALB値だ。またMCVは7月29日には102まで改善している。土曜日の大量飲酒が週前半の脳浮腫の原因になる可能性が高い。
ちなみに震災後の、ほとんど飲酒してなかった23年4月のデータではRBC465、MCV97、Alb4.9であった。それを参考にすると8月8日は明らかにECF浮腫かつICF浮腫ということになる。メニレットとグリチロンの使用は明らかにECFを増大させ、かつICFに影響を与えることが理解できた。
ところでICF浮腫に症状はあるのかというと、一部の患者には「ふらつき」という形で現れることが推測される。ある80歳代の飲酒患者はMCV109であったが2週間の禁酒で「ふらつき」が消失しMCVは102に改善した。この患者はDM傾向(HbA1c 6.2%)があり食後の血糖変動が大きいと想像できた。
つまり食後過血糖のあと高浸透圧利尿が働きECFが減少する。その後、過大なインスリンによる低血糖から浸透圧が減少した際、ICFに水が移動する。すなわち食後の血糖変動つまり浸透圧変動がECFとICFの水の移動の「ゆらぎ」を与えるものと考える。それが「ふらつき」の症状になるのではないかと推論する。
わたしの友人数名もMCV106程度であるが「ふらつき」はない。多分、彼らは若く非肥満であることよりIGTやDM型はない。すなわち私のようなIGTや糖尿病を有し、かつMCV増大している飲酒家は血糖変動による浸透圧変化が「ふらつき」の原因になると推測する。
長期にSGLT-2阻害剤を使用した場合にもNa喪失によるECFの減少とICF浮腫を誘発する可能性がある。そのようになった場合、塩分の摂取とメニレットなどを投与すれば改善が見込まれるはずである。
追記:今回の自験例では採血時間に多少のばらつきがあり体重測定、血圧測定、体液組成など同時に計測しておらず推論という形で公表する。開業医では限界がある。