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低血糖による意識消失発作(疑い)

  • 盛岡減量研究所
  • 2016年7月22日
  • 読了時間: 3分

この頃、3回続けて低血糖によると思われる意識障害発作を経験した。1例は60代の男性で一時Hba1cが6・5%を超えたのでメトホルミン250mg(1×昼)で治療したことがある。Ⅰヶ月後HbA1cが6.2%と改善したので治療を中止したが、それから2週間後その患者は朝方、尿失禁を2回生じたという。排尿の記憶がないということから意識消失発作と推測した。

この患者どのような食事療法を行っているか詳しく問診していない。ただ、この患者は私と同じ愛飲家であり、今世間で流行している糖質制限食の可能性がある。仮に夜に飲酒しても通常、翌朝までにアルコール性低血糖モードは改善して糖新生が行われるのだが、グルカゴン分泌が不十分だったのか、糖新生材料に不足があったのか不明だが、眠前にフルクトース10gと牛乳200mlを飲用するように指導した。

さらに70代の女性は胃全摘後のダウンピング症候群による糖尿病患者。HbA1cが6・7%前後だったのでネシーナ6・25mgを隔日(1×朝)で服用させていた。この患者は度々、低血糖の自覚もあり低γグロブリン血症を伴っていたので、毎食後フルクトース5g(1日15g)を服用させていたが「甘すぎる」との理由で、毎食後蜂蜜を大さじ1杯舐めるよう変更指導した。

ところが朝食後、意識消失発作を生じた。家族の話によるとコレステロールを気にして脂質を極力控えているという。この患者にはフルクトースの再投与と脂質の摂取を奨めた。ちなみに、その前の4か月間のフルクトース服用で低γグロブリン血症は正常化していた。

もう一人の症例は70代男性、夜に2度意識消失を生じたという。この患者はHbA1cが5.1%と糖尿病ではないが任意時間での血糖値が70mg/dlを何度か下回っていることがあった。ホルター心電図でPSVTを認めたが失神発作を生じ得る不整脈が見つからなかったことと、毎夜、筋トレをしているという話より低血糖症による意識消失発作を疑い、眠前にフルクトース10gと牛乳200mlを飲用するように指導した。この患者は肉が嫌いということで痩せている。

以前、独居の70代のインスリン使用中の糖尿患者が度々、低血糖症を自覚していたにもかかわらず毎回、クリニックに自家用車で来院することがあった。そこで家族に相談し老人施設に入所してもらった。糖尿患者や耐糖能障害患者では低血糖発作から意識障害や意識消失発作を生じ色々な事故の原因になる。医者の責任問題にも発展しかねない。

低血糖の治療はブドウ糖の投与だが、予防にはフルクトースの服用と脂質の摂取である。注射用フルクトースは保険医薬品だが経口フルクトースは食品なので当クリニックではネットで大量購入し近隣の薬局に配っている。当院のような僻地のクリニックには管理栄養士を雇うことが難しいので丹念な食事内容の聞き取りと適切な栄養指導ができない。無念。

 
 
 

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