タニタの体組成計より一考
- 盛岡減量研究所
- 2016年7月15日
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前回「データと濃度」を書いた。赤血球容積を細胞内(ICF)浮腫の指標とした場合、私は常時ICF浮腫である。ガイトンの生理学書 原著第11版を参考にすると70kgのヒトで28.0LのICFボリュームだとされている。仮にMCV97から108に変化した場合、108÷97×28=31.2Lということになる。
一方、細胞外液(ECF)はガイトンの生理学書によると14.0Lとされているので赤血球数が465万から420万に減少しているとすれば、465÷420×14.0=15.5Lになる。すなわち私の場合4L以上、体水分量が多い。しかもICFもECFも共に増大している。それゆえタニタの体組成計つき体重計だと体内年齢が45~49歳で表示される。実年齢より10歳以上、若く表示される。
もし禁酒したら4kg超の体重減になる。現在67kgだから禁酒すると体内水分が減少して62~3kgに減る計算になる。現在、使用している体組成計付き体重計はICFとECFの量は測定できないが、タニタの高級機種(170万円)では、これらが測定可能だという。
アルコール多飲者にはMCVの増大や赤血球の減少などをきたすことが知られているが、実はビタミンB12の利用障害や骨髄赤芽球系の抑制などではなかったと考えるに至った。もちろんアルコール性肝硬変では脾機能亢進もあるだろうが、一般にウイルス性肝硬変症などの非アルコール性肝硬変症では血小板減少を伴った正球性正色素性貧血である。
今回、なぜこの記事を書いたのかというとSGLT-2阻害剤使用時のECF減少とICF増大の件を客観的に精査する必要があるからだ。短期的にはRBCの増加、すなわち循環血液量(≒ECF)の減少と長期的にMCV増大、すなわち細胞内浮腫(ICF増大)を来すということが推測されたからだ。循環血液量の減少は血栓症のリスクを上げる。ICF浮腫はメニエル病や緑内障を悪化させる可能性を含むからだ。
ただSGLT-2阻害剤は糖尿病治療だけではなく脂肪肝治療や減量効果さらに心不全などに効果が期待できる薬剤である。SGLT-2阻害剤を安全かつ有効に使用するためには単にHbA1cだけで糖尿病を評価しているだけではダメだ。食後過血糖の是正や飲酒の有無や、飲酒があれば飲酒の程度まで問診し、それらを勘案して使用すべきだと考える。また非閉経期の女性では月経期間ICF浮腫に転ずる可能性もある。
半減期の短いSGLT-2阻害剤でも薬効は2~3日続くことがある。よってSGLT-2阻害剤を使用する場合、食後過血糖の有無を調べた上で隔日かつ低用量から使用すべきである。食後過血糖が存在する場合、各食事に含まれる糖質の量でメトホルミンなどの併用が有用だと考える。
いずれにしてもSGLT-2阻害剤はNaの尿中排出により循環血液量を減らし、さらにECFの浸透圧低下を生じ、結果として細胞内浮腫の原因になる可能性がある。タニタの体組成計で、その程度や割合、それに伴う身体症状が出現するか検証する必要性あろう。理論を客観的に検証しなければならない。
追記:私は常に皮膚も筋肉もパンと張っている状態なのだ。サンジャポに出ているN先生より、大酒飲みの50歳のキョンキョンの方が肌に張りがある。良いか悪いかは不明だが細胞内浮腫と細胞外浮腫を誘導すると皺は目立たなくなる。