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酒飲みとダイエット

  • 盛岡減量研究所
  • 2016年4月28日
  • 読了時間: 4分

酒飲みのダイエットを考えた場合、例えば40度ウイスキー200mlでエタノール(エチルアルコール)換算80gになる。エタノール1gは7Kcalなので560Kcalになる。糖質100gで約400Kcal(おにぎり1個で糖質約35g)、タンパク質100gで400Kcalに相当する。また大体、肉にはもれなく脂質がついてくるので積極的に脂質は摂らなくても良いと思う。また脂溶性ビタミンの吸収の観点からも脂質摂取は必要だ。

例えば医者はデスクワーク主体なので基礎代謝量がほぼ1日あたりのエネルギー所要量になる。個人的には年齢的に約1500Kcal程度が基礎代謝量なので、アルコールとの糖質、タンパク質、脂質のバランスを考慮すると糖質は1日100g程度になる。なぜなら肉100gには20%程度(20g)のタンパク質しか含まれていないので肉のみでタンパク質100g摂るのは至難だ。そこでタンパク質50g(肉や魚、鶏卵などで250g)200Kcalと脂質(肉や魚の油脂や植物油)20g(約200Kcal)を酒飲みの1日当たりの目標エネルギー摂取と考える。

理論的には、この内容でバランスするのだが、例えば毎日2500Kcal摂取していた人が、1500Kcalに減らした場合、減量は容易だ。しかし数か月で耐性が生じ体重が減らなくなる。これが減量耐性であり相対的甲状腺機能低下症の状態である。人類に限らず動物は何億年もかけて飢餓対策として体脂肪を蓄えた。その体脂肪が減少の方向に向かうのは生存の危機であり、甲状腺ホルモン分泌を抑制し体脂肪減少にストップをかける。それが減量耐性である。

アルコールは糖新生を抑制する食物なので糖質を摂らないと夜間にグリコーゲンは枯渇し、さらにアルコールは糖新生を抑制するため夜半から朝方にかけて低血糖の状態で推移することになる。糖質を抜いた場合エタノールならびにケトン体がエネルギー材料になる。ケトン体は血糖低値の際、蓄積体脂肪が遊離脂肪酸となり得られるエネルギー材料だが、一方ケトン体モードとは飢餓モードであり、これが連日続くと甲状腺機能は低下方向に向く。これが糖質制限+エタノールによる減量耐性の理由である。

朝、食事(糖質)を摂らなくても酒が抜ければ糖新生モードは回復するので低血糖状態から解放されるが、食事で糖質をある程度摂取しないとグリコーゲン蓄積ができない。よって極端な糖質制限は低代謝の原因になる。グリコーゲンは体内に150g程度存在されるため糖質100gの食事による糖質摂取と糖新生によるブドウ糖合成を期待して炭水化物100g程度とした。(糖新生とは他の栄養素からブドウ糖合成することである。)

なおフルクトース(果糖)は直接、血糖値を上げる訳ではなく肝臓で糖新生を受け約66%がブドウ糖に変換されるという。そこで夜間~早朝の低血糖モードを予防するため飲酒後もしくは早朝にフルクトースの摂取を勧める。もし飲酒時もしくは飲酒後にブドウ糖(でんぷん)を大量に摂取した場合、一時的に血糖値は上昇しインスリン分泌が増大するため脂肪肝の原因になる。また過大なインスリン分泌とエタノールによる糖新生抑制による低血糖状態も生じ得る。

アルコールは太る、太らない論争があるが連日飲酒は低代謝の原因になることより痩せにくい体質になる。また大量のブドウ糖(でんぷん)と一緒に摂取すると高インスリン血症により脂肪肝のリスクが上がる。アルコールはエンプティフードだがエネルギー源にはなる。とりあえず飲酒時の食物は十分、吟味する必要がある。例えると飲酒時にはオニギリ1個(糖質35g)程度の脂質を含んだでんぷん料理を摂り飲酒後のブドウ糖減少に備える。そして就寝前にはフルクトース10g程度を摂取する、などという感じではないだろうか。

ところで低γグロブリン血症や低IgG血症などを呈している糖尿病患者は基本的に夜間の低血糖モードが原因で骨髄リンパ球障害を生じていると推測している。特にSU剤使用中のⅡ型DMやダウンピング症候群、ステロイドDM、酒飲みDMなど、また大量飲酒者にも同症状がみられる。当クリニックでは彼らに試験的にフルクトースを処方している。ただ脂肪肝や高脂血症など悪化する可能性があり慎重に症例を選んで少量(5~20g)を投与している。今のところ大きな問題はないがフルコースの量設定が決められない。

ちなみにリンゴMサイズ1個(250g)には糖質が35gだそうで、内容は約18gのフルクトースと9gのショ糖、ブドウ糖6g、ソルビトール2gを含んでいるという。

 
 
 

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