NASHとNAFLDの実践的治療法
- 盛岡減量研究所
- 2016年4月28日
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非アルコール性脂肪肝をNAFLDと称するが、それがさらに悪化したものをNASH(非アルコール性肝硬変)と称する。一応1日当たり純エタノール摂取30g以下の慢性脂肪肝をNAFLDして扱っている。確定診断は肝生検で決まるが、日常的によく遭遇する疾患である。一般的に肥満を有する中年以上の女性に多い。軽症脂肪肝として扱われるが、それが40年以上経過するとNASHに至る場合がある。
これらはトランスアミナーゼが高度に上昇することは多くなく、慢性の低アルブミン血症が続くケースである。またコリンエステラーゼ低値、4型コラーゲン7S高値、またアンモニア高値を示す場合があり住民健診レベルの検査では見落とされる可能性が高い。ただ脾機能亢進(脾腫)による血小板減少症を生じているケースは多くない印象である。
つまり肥満を呈する中高年以上の女性でトランスアミナーゼ軽度上昇かつ低アルブミン血症(4,0g/dl以下)を認めた場合4型コラーゲン7Sやアンモニアを測定してみる価値がある。LC(肝硬変)ステージに至らぬもpreLCというべき状態の患者が少なからず存在する。特にアンモニアは1回だけで判断できないので数回測定して判断する必要があろう。正常高値を示す場合にはNASHに進行する可能性がありうる。
治療の基本は減量であるが高齢者の場合には、それは難しい。膝が悪くウオーキングなどの軽運動もできず、また食事指導も行っても実践できない。何十年も続けている食生活や日常生活を変えるのは不可能に近い。さらに高インスリン血症をきたすようなご飯中心の食生活を見直すことも不可能なのだ。ご飯を美味しく食べて何が悪いの?って感じだ。したがって薬物療法で治療せざるをえない。
中高年以上の肥満女性はIGTもしくはDM型を示す場合が少なくないのでSGLT-2阻害剤の良い適応になる。またNAFLDの患者の中には絶対的あるいは相対的甲状腺機能低下症を有する患者もいる場合もあるのでチラージンSも投与可能であろう。またSGLT-2阻害剤を用いて頻尿を訴える場合にはβ3アゴニストも投与可能である。ただビオグリタゾンは浮腫や肺水腫をきたす可能性があるので2か月ぐらいが使用の限界である。
まず75gOGTTを行なってIGTもしくはDM型を診断する。Hba1cが6.0%以下でもIGTもしくはDM型を呈するなら効果が期待できる。ただ投与開始はハーフドーズが基本であり1日3食毎に必ずみそ汁かスープを付けて、食後に水か冷茶を2杯飲んでいただく。インスリンの分泌が行われる前にSGLT-2阻害剤を効かせるためだ。もし眩暈症状がでるようならメニレットゼリー20gが有効だ。これで減量と肝機能改善が見込まれる。