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冷え症の正体と対策

  • 盛岡減量研究所
  • 2016年2月27日
  • 読了時間: 3分

先日、テレビを拝見していたらどこかの大学の先生がトンチンカンな話をしていたので正しい冷え症のメカニズムを解説する。冷え症の本体は四肢末梢の毛細血管レベルのシャント、すなわち短絡だ。血液は心臓を出発すると大動脈、中小動脈、最小動脈に至り、毛細血管を経て組織に栄養や酸素を供給して静脈に還流する。(なお血液の温度はどこも同じだ。)

長時間低温に曝されると極端にいうと毛細血管を介さず静脈に還流する。人間は恒温動物であり体温の喪失は生命の危機につながる。寒冷に曝されると毛細血管は収縮し手足は冷たくなる。逆に高温に曝されたり、体内が蓄熱状態にある時四肢末梢の毛細血管は拡張し熱くなる。と考えれば合理的である。手足の毛細血管はラジエターの役割を果たしている。

基礎代謝とは寝ていても消費するエネルギー消費量である。心肺と内臓さらには脳も担当していると思われる。筋肉は運動をしなければ基本的にエネルギー消費活動すなわち発熱しない。褐色脂肪細胞は主に放熱を担当する部署であり摂取エネルギーを処理し体温調節に寄与する。甲状腺ホルモンや副腎髄質ホルモンがそれを調整する。皮下脂肪は保温に有利だが、一度冷えるとなかなか温まらない可能性がある。

逆に手足が暑い時には体温上昇を防ぐべく放熱していると考えるべきであろう。ところで酔った後に、すごく寒く感じることがある。私は「酔い寒」と呼ぶが居酒屋等の温かい空間で談笑しながら飲んでいる時には寒さを感じない。ところが店をでてとぼとぼ歩いて帰宅する時に寒さを感じる。アルコールは血液の循環を良くするので毛細血管を拡張しているが寒冷に暴露されると体温が急激に失われる。ガタガタブルブル、これが酔い寒である。

そう考えると冷え症とは冬期やクーラーなど寒冷暴露による体温喪失を防ぐ最初のプロセスであると考えても良い。夏期には体温上昇を回避すべく放熱に働く。一般的には甲状腺機能が低下時は冷えを感じやすい。また甲状腺機能亢進時には熱く感じる。もし長期減量中の方は冷え症になりやすい。エネルギー代謝が下向きの場合が少なくなく冷え症になりやすい。重度の冷え症に悩んでいる方は、医療機関を受診し甲状腺機能を調べてもらうべきだ。

冷え症の治療は第一に寒冷暴露を回避すること。第二に入浴などで体を温めること(エアコン暖房は風により熱の放散を促進する可能性がある。)第三に消化に時間を要する食品を規則正しく摂取すること。冷え症の冷感とは痛覚刺激に類似点があるので貼るホカロンを用いても良い。医者の手が冷たいことはプロ意識の欠如とみなされるので毎日軍手を着用している。軍手は裏も表もなく何度も洗える、しかも厚いのでホカロンを貼っても低温火傷の心配がない。また大腿や下腿が温かい場合には冷たくなった足裏部分を押し付けても良い。

追記:先日、肺水腫による在宅酸素療法を行っている患者さんのSpo2が98%にもかかわらず両足先端にチアノーゼが存在した。入浴担当の訪問看護師の話によると入浴後には正常に戻るとの報告であった。これは心不全による心拍出量の不足と低アルブミンによる膠質浸透圧低下が関与していると考えるが、さらにさらに抵抗血管とよばれる小動脈、最小動脈の虚血により毛細血管まで十分な血流が到達していないためと考えた。

 
 
 

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