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現時点での肥満に対する薬物療法

  • 盛岡減量研究所
  • 2015年11月9日
  • 読了時間: 3分

肥満というのは遺伝的な素因がなければ食習慣が問題になる。人間は摂取したエネルギーを体脂肪という形で蓄積している。基本的に消費エネルギーと摂取エネルギーは甲状腺ホルモンなどの作用によりバランスしているが、ストレスなどで過食方向に向くことがある。サノレックスは亢進した食欲を抑制するとされているか、個人的には無効だと考える。

適応とされるBMI35というのはホモ型の肥満遺伝子を有している可能性が高く、あるいは肥満遺伝子を有さなくても過食に至る大きなストレスが存在すると考えられる。サノレックスを服用して大きなストレスが解消されるとは考えられない。まずストレスによる過食にはカウンセリングが必要になるが、カウンセリングで解決できない場合も少なくない。

また極度の食事制限、特にスーパー糖質制限は代謝や血液障害の点から避けた方が良い。ただ食事つまり選択する食品が誤っている人もいるので、それを是正するとも重要である。大方の肥満者は運動もせず安楽に好きなものを腹一杯食べながら痩せたいと思っている。基本的に、それに答えるのは無理で、ある程度真剣に減量に取り組まなければならない。

まず減量に取り組むには肥満や糖尿病などに問題意識をもつことであり、減量へのモチベーションを上げ、それを維持することだ。ただ食べなければ良いとか、糖質を抜けば良いという訳ではない。毎日の三食と間食について日記をつけてもらい2週毎に医師が確認して、栄養士が指導するのが理想的だ。1か月の期間を開けると患者の緊張が維持できない。

その上で薬物を使用する。まず75gOGTTを行いDM型もしくはIGTを示すか確認する。いずれかであればSGLT-2阻害剤が減量に有効である可能性が高い。ただ愛飲家の場合はSGLT-2阻害剤に有効性があったとしても副作用の点で推奨はできない。愛飲家の減量には、まず最低1か月間の禁酒が有効であると考える。禁酒により代謝の改善が期待できる。禁酒した場合、食欲が増すが、ここで過食があると体重増になるので注意が必要だ。

もしDM型やIGTでSGLT-2阻害剤が減量無効であるなら肥満遺伝子を有すると考える。肥満遺伝子が存在すると推定された場合、1日1000Kcal程度のカロリー制限が望まれる。この場合も極度の糖質制限は避けるべきでプロティンダイエットなどを利用して最低限のビタミンや蛋白質は摂取しなければならない。またβ3刺激剤が発汗を誘導することもあり確実な減量効果は保証するものではないが補助薬剤として使用してみる価値はある。

また女性の場合SGLT-2阻害剤は妊娠可能年齢もしくは非閉経期の女性に対しては積極的に使用すべきではない。月経期に細胞内浮腫を来す可能性があるからだ。どうしても使用する際には月経期5日間は塩類(ナトリウムやカリウム)を積極的に摂取するように指導すべきであろう。細胞内浮腫が存在すると体重減少が僅少になると想定される。

スーパー糖質制限食や長期飲酒者で減量耐性ができた症例にはTSH、FT3、FT4をチェックして代謝低下を確認する。代謝低下を、どうみるか難しい点だが、ひとつFT3が正常範囲の中央値を下回っていた場合、代謝低下の可能性が高い。またTSHが正常範囲の中央値を超えていた場合、代謝低下の可能性がより高まる。

いずれにしろ、これらは相対的甲状腺機能低下症であり、治療する場合にはT4製剤チラージンS 12.5mgから使用すべきだ。T3製剤チロナミンは強力なホルモン作用があるのでチラージンSを最低量用いてFT3値を見て可能ならチロナミン2,5~5mgを併用する感じだ。ただ採血検査はチラージンSなどの処方後1~2週毎に行う必要があり、保険外診療で行う必要がある。

かつて牛の甲状腺末や麻黄が減量に用いられ死者を出した過去があるが、医師が検査値や臨床症状を見ながら使用するのであれば保険診療外であっても、行ってみる価値は十分にあると考える。ただし経験のない未熟な医師が手を出すべきではない。

 
 
 

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