top of page
検索

SGLT-2阻害剤の利尿作用

  • 盛岡減量研究所
  • 2015年10月23日
  • 読了時間: 2分

高血圧症と僧房弁閉鎖不全症のある60歳代女性患者に75gOGTTを施行したところ、MAX230mg/dlを示したため糖尿病と診断した。そのためプレミネントからニューロタンに変更し、その代りSGLT-2阻害剤であるスーグラ25mgを処方した。ご存知のようにプレミネントはARBニューロタンと利尿剤ダイクロトライド12,5mgを含んでいる合剤型降圧剤である。

その患者は軽度肥満を有するⅡ型糖尿病でHBa1cは6%前後であったが、循環器科の主治医より常々、減量を勧められていたのでSGLT-2阻害剤を用いてみた。もちろんHba1cは6%前後で,必ずしも積極的に糖尿病の治療の対象ではなかったが、飲酒の習慣がないとのことで、主として減量目的でSGLT-2阻害剤を選択した。薬剤変更後、彼女によるとプレミネントより利尿効果が強いとの感想であった。

結論からいうと尿中にブドウ糖を排出するより、多くのナトリウムが尿中に排出されている印象を受けた。詳しくは24時間蓄尿を行ない何gのNaClが排出したか調べることであろうが、製薬メーカーに問い合わせてもデータはないとの返事だった。もし血漿中あるいは細胞外液中のナトリウムが予想以上に体外に排出された場合、血糖値低下と相まって細胞内浮腫をきたす。

厳密にいうと細胞外液脱水かつ細胞内液浮腫が同時に存在する状態だ。こうなると、ふらつきや口渇や頭重などが出現する可能性がある。もしこれを是正するためには細胞外液に浸透圧物質を与えるしかない。細胞外液の浸透圧物質とはナトリウムとカリウムである。特にナトリウム負荷(食塩負荷)が第一選択になると思われる。

SGLT-2阻害剤は血糖値の高さに比例して利尿効果も増強する。したがって何gの食塩を負荷すれば妥当なのかというのは一言では言えないが、場合によっては1日10g以上の食塩負荷が必要になると考える。血糖値が70~100mg/dl程度の状況で、食塩3~5gを負荷して尿量が増加した場合、細胞内浮腫が存在した可能性がある。

ちなみに、ざるそばの汁(ストレートタイプ)は100mlで約3,6gの食塩を含有している。これを1,5倍から2倍に薄めて飲用し、利尿が増したら細胞内浮腫が存在した可能性がある。そばつゆは10%NaCl20ml~40mlを静脈内注射するより安全であろう。

SGLT-2阻害剤の利尿作用は予想以上に強力でありブドウ糖だけでなく、Naの喪失も相当量あると考える。よってSGLT-2阻害剤使用時は相当の塩盛が必要ではないかと考える。

 
 
 

当ホームページ上のすべての文章や画像などの無断転載は禁止します。

Copyright © 2015盛岡減量研究所 All Rights Reserved.

  • Facebook アプリのアイコン
  • Twitterのアプリケーションアイコン
bottom of page