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SGLT-2阻害剤と飲酒

  • 盛岡減量研究所
  • 2015年9月4日
  • 読了時間: 2分

私は酒飲みであり減量マニアである。またIGT(境界型糖尿病)であり主として減量目的でSGLT-2阻害剤を服用していた。ところが、ある朝、複視が出現した。また二日酔いとは異なる倦怠感や頭痛をしばしば生じた。原因について検討したところSGLT-2阻害剤とアルコールが重なって生じた脳浮腫ではないかとの結論に至った。

最近の血液検査で肝機能等には異常がなく血算も問題なかったが赤血球容積(MCV)が108fLまで増大していたのだ。未だに大MCVはアルコールによるビタミンB12や葉酸の利用障害と思っている方がいるかもしれないが、これは慢性細胞内浮腫の指標である。アルコールが体内に長時間存在する場合血液、細胞外液の浸透圧は長時間低下するため赤血球が膨化する。むろん、そのことが原因で慢性脳浮腫も生じる可能性がある。

ところでSGLT-2阻害剤服用後も一過性の細胞内浮腫を生じる。すなわち食後、消化管よりブドウ糖が吸収され血液中に増加してくると暫時、ブドウ糖は尿中に移動する。この時、水も尿の材料として喪失する。当然、細胞外液成分であるNaも尿中に移動する。結果、細胞外液量は減少するが、同時に細胞外液浸透圧も低下するため、結果として細胞内液に水が移動し細胞内浮腫を生じる。

だが食事に含まれるNaなどの電解質はブドウ糖と異なり消化、吸収に時間を要するため、血液中にNaなどの浸透圧物質が供給されるのは1~2時間後になると推測される。すなわち食後1時間前後は細胞外脱水かつ細胞内浮腫の状態にあると考えられる。

すなわちSGLT-2阻害剤服用中の患者の食後1時間前後は細胞外液脱水期で、少し遅れて細胞内浮腫期に達し2~3時間後にNaなどが血液中に充足して安定期に戻ると想像する。

細胞外脱水の際は眩暈や立ちくらみが出現しうる、また細胞内浮腫として嗄声が出現する場合もあるかもしれない。ただし、いずれも2~3時間で回復するから問題はない。

ただそこで長時間飲酒を行なった場合はNaが細胞外液中から連続的に尿中に喪失する。アルコールはブドウ糖を尿中に移動させることはないが、アルコール利尿により電解質は体外へと移動する。またアルコールは糖新生を抑制するため血糖値は低値を維持する。すなわちアルコールが体内に存在する間は細胞外液の低浸透圧が続くと考えられる。

結果、赤血球細胞内の水は増加し赤血球は膨化する。もしSGLT-2阻害剤を服用しながらアルコールを長時間飲み続けると細胞内浮腫が慢性化すると想像する。結果として脳浮腫や声帯浮腫さらに赤血球容積の増大が出現すると推察するに至った。あの二日酔いの声だ。

 
 
 

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