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SGLT-2阻害剤による脱水対策に塩を盛るわけ

  • 盛岡減量研究所
  • 2015年7月3日
  • 読了時間: 2分

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SGLT-2阻害剤がヒットして利尿が過度に亢進した場合、脱水を生じる可能性がある。個人的には減量的観点から推測した場合、2週間で500g減あたりがSGLT-2阻害剤による減量の標準ではないかと考える。

もし2週間で1kg体重が減ったのであれば脱水の傾向がある。もし2週間で2kg体重が減ったのであれば間違いなく脱水症だ。メーカーの資料によると1日最大100gのブドウ糖が尿中に排出されるとある。すなわち1日400Kcalの減量になる。

400Kcal×14日=5600Kcalが2週間で尿中に失われた場合、除水体脂肪1kgあたり7200Kcalとすれば最高で770gの体脂肪減少になるはずだ。本当に毎日、尿中に100gのブドウ糖が排出されるのか不明だが、2週間で体重1kg以上減はやや多い。

ところで血漿の1Lの脱水があれば基本的にNaが140mEq同時に喪失している。140mEq/Lとは1Lの水に約8gほどのNaCl程度が溶けている状態だ。1Lの脱水ということは少なくとも8gのNaClを補給する必要がある。水だけでは塩類が不足している。

SGLT-2阻害剤使用中の体重減少期には積極的に塩類補給を行わなければ塩類欠乏性脱水症に至る。基本的に細胞外液はNaによって浸透圧が規定されているためNaClを主体とした塩類の補給が必要だ。一方Kはインスリン分泌亢進により細胞内に移動したり、尿中への喪失で低Kになる場合がある可能性がある。逆にCrが上昇するような強い脱水症では高Kを呈する場合もあろう。

いずれにしろ細胞内外の浸透圧は基本的にバランスしているため水分だけ、あるいは塩類だけ喪失することは稀だ。脱水症の多くの場合、塩類喪失を伴って生じる。もしSGLT-2阻害剤により脱水症が明らかな場合にはラクテックなどの細胞外液補充液を、K不足が想定される場合には、さらに3号輸液を追加して点滴する。

夏期の脱水予防には日常的に塩分を含むトマトジュースや梅干水あるいはスポーツドリンクを飲用させることも必要だが、脱水症の治療には点滴を行なった方が速やかに改善する。

通常ほとんどの脱水症は夜に完成することが多いので、眠前に塩類を含むドリンクの飲用が有益だ。SGLT-2阻害剤による脱水症を予防するには水だけでは不十分である。特に300mg/dlを超えるような場合には毎食積極的な水と塩類が必要だし、眠前にさらにトマトジュースか梅干湯(水)を飲用させ翌朝までに脱水症が完成しないよう予防すべきである。

 
 
 

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