減量に対する薬物療法⑵
- 盛岡減量研究所
- 2015年5月28日
- 読了時間: 3分

なぜ女性に強い眠気が発現したのか考えてみた。女性が眠くなる代表はズバリ「授乳時」である。授乳中は愛情ホルモンと呼ばれるオキシトシンの分泌が増加する。なぜ授乳中は眠くなるのかを考えてみると、母親が寝ていてくれた方が赤ちゃんは安心してお乳が吸える。
彼女たちは皆、出産歴があり平時でもオキシトシンレベルは高いと推察する。単純にいうと半夏厚朴湯を服用した結果、オキシトシン分泌レベルがアップしたため強い睡魔に襲われたのではないか。男性もオキシトシンは分泌されているが、そのレベルは女性(特に経産婦)より低いと考えられる。だから男性には効果が薄く、女性に強い効果が出たのではないか。
もし半夏厚朴湯がオキシトシンレベルを上げたのであれば、半夏厚朴湯のどの成分がヒットしたのか半夏か厚朴か?私としては「茯苓」ではないかと考える。加味逍遥散や桂枝茯苓丸など婦人病に用いられる漢方薬であるが、半夏厚朴湯に含まれる茯苓の量は他の漢方薬に含まれる量より多い。漢方薬の中でトップなのだ。
ガイトンの生理学書を拝見すると分娩まで性腺ホルモンであるエストロゲンとプロゲステロン、またプロラクチンという乳腺発達や乳汁産生を促すホルモンは順調に増加する。ところが分娩が完了すると性腺ホルモンは強く抑制される。一方、プロラクチンは継時的に基礎分泌がゆっくりと減少するが、授乳時にのみ分泌が増加する。すなわち出産後は授乳時のみ間欠的にプロラクチン分泌が増加する仕組みのようだ。
プロラクチンが増加すると眠気が増すかは不明だが、授乳時は眠くなる。すなわち茯苓によりプロラクチン分泌レベルは増加し、オキシトシンの分泌レベルも非服用時よりアップしたため睡魔が出たのではないだろうか。多分、そのホルモン分泌はごくわずかなものであろうが、男性にも効果が得られる可能性がある。
またプロラクチン分泌が増加するとエストロゲンやプロゲステロン分泌は抑制傾向になる。婦人病はエストロゲンやプロゲステロン2種の性腺ホルモンの影響で発症していると考えると、茯苓はプロラクチンレベルを上げることによって、性腺ホルモンレベルを抑制的に調整し各婦人病を改善せしめているとも想像できる。
最後に、アスペルガー症候群などの一部の自閉症の患者にオキシトシンを投与すると対人関係や社会性が改善されると報告されている。海外ではオキシトシンの点鼻スプレーが臨床現場で用いられている。彼らはオキシトシン分泌が不足しているのかもしれない。だとすれば半夏厚朴湯などは、彼らアスペルガーにも効果が期待できるのではないだろうか。