摂食障害に対する考え
- 盛岡減量研究所
- 2015年3月29日
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摂食障害はざっくり拒食症、過食症、過食嘔吐の3タイプに分けられる。もちろん拒食症で始まって途中で過食嘔吐に転じるケースもあるし、過食だけのケースもあるかもしれない。いずれにせよ私は性欲と食欲の戦いの結果だと考える。もちろん苛めがきっかけになったりパーソナリティ障害が関与したり、あるいは過度のストレスが原因になる場合があるかもしれないが、摂食障害は二大本能である性欲と食欲の戦いから生まれたものと考える。
摂食障害は若い女性に多い疾患である。二次性徴が発現するあたりから出現することが多い。拒食症の女子は「痩せている方が美人である」という発想がある。単一視眼的な考え方だが、これは男性に向けられた発想というより同性の女性に向けられた発想なのではないか。本来「美人」という評価は異性が判断するものであり恋愛や結婚に結びつく評価なのだが、拒食症の女性は同性の評価を期待して始まる。誰よりも痩せていることが勝利なのだ。
性欲が亢進すると化粧をし、着飾り多くの異性の注目を浴びたい、その結果恋人ができ結婚したいというのが普通の発想であろう。拒食症の女性は痩せることが一番の目的であり異性からの視線も不要なのだ。異性が関与しない女同士の戦いの勝者が拒食症ではないのか。原因は不明だが学校での仲間はずれや苛めやパーソナリティ障害が関与しているかもしれない。真面目にストイックな性格の女子が何か大きく勘違いして頑張った、という感じか。
普通の女性は完全なる拒食症になれない。絶食ダイエットに挑んでも挫折し過食のあと自ら嘔吐したり、下剤を乱用したり、多くはせいぜい高額なダイエットサプリを購入して満足するぐらいであろう。性欲と食欲は子孫を残すために備わった動物の二大本能だが、性欲が強くなると食欲を抑え込み拒食に陥り、そこに無理が生じると過食に陥るとも考えられる。精神的に強い時は拒食に走り、ストレスなどで精神的に弱くなると過食になる。過食は楽だ。ただ食うだけで幸せになれる。
過食嘔吐は若い女性なら誰でも陥る可能性がある。ファッション雑誌が痩せたモデルを賛美する。またテレビタレントもお笑いでなければ大方は痩せている。痩せていればやイオンの服でも綺麗に見える。綺麗に見えれば異性にモテる。また異性にモテれば周りの女性に鼻が高い。人間は異性がいない環境では、ストレスのはけ口は食事である。女子会やお女同士のお茶会で満腹になり帰宅した後、彼とのデートのため自ら嘔吐するかもしれない。
異性をあきらめ、あるいは会社や学校など世の中のしがらみを排除できたら、一人部屋に籠ってお菓子やパン、カップ麺やポテトチップさらには宅配ピザや高カロリー飲料を運動もせず朝から夜までひたすら摂り続ける。性欲を捨て食欲に走る。それが過食症ではと考える。
摂食障害について私が考えるに、治癒は相当困難だが緩解には誘導できるはずだと。基本的に彼女(彼)の生き方、考え方を常に肯定してあげて、決して否定しないことが重要ではないだろうか。彼女(彼)の、これまでの人生での価値観に対する勘違いや思い込みを、数十分の外来診療で是正し、発症前にリセットすることは不可能に近い。食べた理由や吐いたきっかけになった理由を聞いて同調することが緩解への第一歩ではないかと私は思う。