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満腹感と満腹、空腹感と空腹

満腹感と満腹は異なる。また空腹感と空腹は異なる。現代社会では朝食抜きの生活を送っている人も少なくない。彼らは前日の夕食から14~15時間も食事を摂ってないのに普通に生活している。朝、目が覚めた時には空腹であるはずなのに空腹感は乏しい。通常、血糖値が低下すると空腹を感じるが、朝は血糖値がさほど低下していないから空腹を感じにくいのだ。なぜなら胃の中が空っぽでもグリコーゲンのブドウ糖を利用し、脂質やタンパク質から糖新生が行われており、一定の血糖値が維持されているから空腹だが空腹感は乏しい。

 

一方、糖質制限食で減量している場合には空腹感も満腹感もあまり感じにくい。最大の理由は血糖値の変動が少ないので食事の重さによる満腹や空腹というのはあるが満腹感や空腹感に乏しい。確か、このことは江部先生の本にも記載されていた記憶がある。

 

糖質抜きでの減量中に糖質の少ない肉や魚さらに葉野菜などを肴に焼酎などの糖質ゼロの酒を飲んでいると、やがて血糖値が低下する。これはアルコールが糖新生を抑制するため低血糖モードに突入するからだ。こうなると空腹感を覚えるようになる。朝食を抜いても糖新生により低血糖モードになりにくいが飲酒は低血糖モードを生じやすくする。

 

糖質中心の食生活を送っている人は、食後1時間前後で高血糖モードになり満腹感を覚えるとともに満腹になる。ただ高糖質により過剰にインスリンが分泌されるため数時間後、空腹になった途端に空腹感に襲われる。ちなみにレストランでご馳走をお腹いっぱい食べたとしても何かもの足りない。これは血糖値の上昇がまだ不十分だからである。だから別腹と称しデザートなどの単純糖質を注文して早期の満腹感の獲得を誘っているのである。

 

糖尿病の患者では基本的に血糖値の幅が広い。食後の高血糖、空腹時の低血糖が頻繁にみられる。糖尿病患者は空腹になると空腹と空腹感を同時に感じる。別に糖尿病でなくても糖質の過剰摂取があれば高インスリンから数時間後に低血糖モードに入るので空腹を感じる。

 

私の知り合いは朝食抜きだが午前中はさほど空腹を感じていない。どちらかというと前日の夕食の数時間後、夜遅くに空腹感を覚え、ついオヤツを摂るという。私は低糖質・大量飲酒派なので満腹であっても夕食後数時間で空腹感を覚える。彼は過剰インスリンによる低血糖モードであり、私は多量のアルコールによる低血糖モードなのである。

 

満腹や空腹は単純に胃の中の食事の重量で決まるが、満腹感と空腹感は高血糖なのか低血糖なのかで決まるのではないかと考える。糖尿病の患者は高血糖に麻痺しているから血糖値が300㎎/㎗を超えても満腹感が得られない。糖尿病患者は糖質中毒だとの考えも存在する。

 

 

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