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麻黄(エフェドラ)ダイエット

漢方薬に麻黄(英語名:エフェドラ)という生薬がある。これは生成されるとエフェドリンになる、またエフェドリンから覚醒剤アンフェタミンが合成される。エフェドリンは副腎髄質から分泌されるカテコラミンと類似した化学構造式を有するので、その使用により交感神経系は刺激され種々の生体反応を引き起こす。交感神経系により刺激されるのは臓器によりまちまちである。ちなみにカテコラミン受容体とは下記 [アドレナリン受容体, 2013]のように分類される。

 

  5種類のカテコラミン受容体(カテコラミンやエフェドリンを受容する場所・臓器)

  α1:血管収縮、瞳孔散大、立毛、前立腺収縮などに関与 

  α2:血小板凝集、脂肪分解抑制のほか様々な神経系作用に関与 

  β1:心臓に存在し、心収縮力増大、子宮平滑筋弛緩、脂肪分解活性化に関与 

  β2:気管支や血管、また心臓のペースメーカー部位にも存在し、気管支平滑筋の弛緩、血管平滑筋の拡張(筋肉と肝臓)、

          子宮の平滑筋等、各種平滑筋を弛緩させ、および糖代謝の活性化に関与

  β3:脂肪細胞、消化管、肝臓や骨格筋にも存在する他、…略…基礎代謝に影響を与えているとも言われている。

 

エフェドリンは、このすべてを刺激する。したがって麻黄を減量目的で過量に使用すると減量は叶うものの動悸や血圧上昇などを生じ、さらには不整脈から死に至ることもある。現在、減量のため麻黄を用いるのは禁止されている。ただ適正に使用するのであればエフェドリンは古くから喘息治療に用いられており、麻黄湯などの感冒薬としても使用されている。

 

また例えばウラピジル(商品名:エブランチル)はα遮断剤(α1選択性が高い)として高血圧や前立腺肥大に伴う排尿障害に、あるいはアテノロール(商品名:テノーミン)はβ遮断剤(β1選択性が高い)として高血圧や頻脈性不整脈に用いられている。また喘息にはβ2選択的刺激剤としてプロカテロール(商品名:メプチン)やツロブテロール(商品名:ホクナリン)を、また切迫流産・早産の治療薬としてリトドリン(商品名:ウテメリン)が用いられている。

 

2011年に発売された過活動性膀胱治療薬ミラべグロン(商品名:ベタニス)は世界初のβ3選択性が高いβ刺激剤である。膀胱平滑筋にβ3受容体が多く存在するので、これを刺激して膀胱の過度の緊張を緩和するのである。またβ3受容体は脂肪細胞にも多く存在しているが、今のところ臨床の場でミラべグロン(ベタニス)を減量(体脂肪燃焼)に使用した例は聞いたことがない。ただ、少なくとも麻黄やエフェドリンをもろに使用するよりは保険医薬品としての使用量が決まっているため安全性は担保されているのではないかと考える。

 

 

引用文献

アドレナリン受容体. (2013年8月17日). 参照日: 2015年3月21日, 参照先: フリー百科事典 ウィキペディア日本語版: http://ja.wikipedia.org/wiki/

 

 

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