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むくみ(浮腫)について

慢性腎不全で血液透析を受けている人の大方は無尿である。それは種々の理由で腎臓が機能不全に陥り尿が作られなくなったため生じる病態だからである。そのため血液を介して尿毒素と呼ばれる物質や水を除去するシステムが血液透析なのだ。基本的に週3回、1回4時間前後の透析を行い、体液バランスを正常に戻す治療法である。透析終了から次の透析までの40~60時間に摂取した飲食物は体に溜まる。その後、固形物は便として排出されるが水は体重増加として体内に貯まる。

 

人間の体液区分というのがある。骨や筋肉、皮膚などの固形物を除くと人間の体は水である。その水はどこにあるかというと体の全ての細胞の中と外に存在する。前者は細胞内液と呼ばれるものであり、後者は細胞外液と呼ばれる。細胞内とは筋肉細胞内であり、脳細胞内などの個々の細胞が持つ水分である。一方、細胞外液とは血管内やリンパ管あるいは細胞間隙、皮下や筋肉近傍に存在する間質に存在する。むくみ(浮腫)とは、この間質に水が過剰にたまって膨れ上がった状態である。

 

消化管で吸収された水分は、はじめ血管内に集められるが血管内に保持できなくなると静脈側から毛細血管を経て溢出し間質に漏れ、過剰になると「むくみ(浮腫)」を形成する。ただ、これらの事象はすべて細胞外液で行われており、基本的に細胞内に水が貯留するケースは多くない。各細胞は細胞膜を有するので細胞内部は細胞膜で保護されており水の移動は限定的である。横紋筋融解症や脳出血などで細胞が破壊された場合のみ細胞内に大量に水が移動するのである。もし容易に細胞内に水が貯まるなら生命活動に困難をきたす。

 

透析を受けている人たちの余剰水分による体重増加は、ほとんど細胞外液が担当していると言って良い。なぜなら体液を構成している浸透圧は細胞内外で常に均衡を保つよう決まっているからだ。細胞内の浸透圧は基本的に常に安定しており細胞内の保水能力は限定的だ。だから細胞外液の浸透圧を構成する電解質と水が間質に移動し浮腫をきたすのである。

 

例えばネフローゼ症候群では腎糸球体の異常により血漿タンパク質が尿中に漏れる。その結果、血液中のタンパク質が減少し膠質浸透圧による水分保持機能は低下する。そして血液中の水分は血管内から間質に移動し浮腫を形成する。血管内に水分を保持する物質がアルブミンであり、肝硬変や腎臓などの疾患がなければタンパク質摂取量に比例して増減する。

 

ビールなど低電解質の飲物を多量に摂取すると浸透圧が低下するため塩が欲しくなる。塩分を過剰に摂取すると細胞外液の浸透圧が上昇するため口渇を招き、水分を欲する。飲んだ後にラーメンが食いたくなる。そして喉が渇くのでコンビニでお茶を買って帰るのだ。

 

 

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