
糖質と人類
とある日、TV番組「完全解凍!アイスマン~5000年前の男は語る~[日本放送協会, 2013]」で10,000年前の人間の死体がアルプスの氷河で見つかったと観たことがある。氷河が地球温暖化で溶け出したため偶然発見されたとのことであった。幸いにも氷河で発見されたため10,000年もの間、凍結されており腐敗はなく内臓も残っていたとのことで、どこかの国で今も冷凍保存され、少しずつ解剖されているらしい(詳しいことは忘れています)。
その死体の胃袋の中身は未消化の動物の毛、木の実、植物の種、それに確か小麦があったと聞いて驚いた。なぜかというと10,000年前に炭水化物である小麦が存在したのである。むろん野生の小麦もあるだろうから胃袋の中に小麦が存在しても良いのだが、農耕は4,000年前に中国で初めて始まったと習っていたからだ。もしかすると10,000年前のヨーロッパには農耕が存在した可能性あるということであり、実に驚いた。
人類は原始時代、他の動物と同じように狩猟を行い、魚を捕り、木の実や根っこを採取して生き延び、現代に至ったという話と少し違うではないかと。でも私はこう解釈してみた。猿は雑食性だから何でも食べる。肉も魚も木の実も食べる。10,000年前、彼はたまたま小麦の実も食べたのか、あるいは住まいの近くに多数自生していたのであろう。人類は火を熾すことが出来たのでナンのような素朴なパンを焼いたかもしれない。
恐らく10,000年前は野生の小麦を採取して食べていただけで農耕としては完成していなかったと考えるべきであろう。やはり4,000年前に中国で水稲栽培が開始され農耕が始まり、その後エジプトあるいはヨーロッパで小麦栽培が可能となり、それらの農耕が全世界に広まったと考えると納得できる。
農耕が完成したことで人類の人口は増加した。炭水化物を安定して得ることが出来るようになったので、どの動物より増加したとも言えるのではないか。猿は田んぼや畑を荒らすことが出来ても耕作することは出来ない。つまり農作物、すなわち人工的に炭水化物を作り出すという発見が人類の繁栄をもたらした最大の要因であると考えられる。その後、野菜などその他の植物の耕作、あるいは畜産なども始まり、人類は長寿を獲得し、ついには爆発的に人口が増加して今日に至ったのだ。
ただ現在では、その栄養の過剰から種々の生活習慣病を引き起こすに結果になった。だから今、糖質制限だ、カロリー制限だ、運動療法だと大騒ぎしているという感じであろう。でもアフリカなどの貧しい国々では栄養不足の人類も数多く存在することも忘れてはならない。常々デパートやコンビニの廃棄食品はもったいないと思うのは私だけだろうか。
引用文献
日本放送協会. (2013年3月24日). 完全解凍!アイスマン~5000年前の男は語る~. 参照先: NHKスペシャル: http://www.nhk.or.jp/special/detail/2013/0324/